イベント報告
今からはじめる老い支度(浜松)第1弾開催

今からはじめる老い支度(浜松)第1弾講演「生き方のコツ・死に方の選択」大好評

 5月11日(火)13:00~浜松労政会館にて、全4回シリーズ「今からはじめる老い支度」の第1弾「生き方のコツ・死に方の選択」を実施しました(主催:コープしずおかライフサポートセンターしずおか、静岡県労働福祉事業協会、後援:静岡県労働者福祉協議会、静岡県労働金庫、全労済、NHK静岡放送局)。当日は50歳代以上の方を中心に50人以上が参加されました。

 講師は、松本市内、神宮寺住職高橋卓志氏。岩波新書「寺よ変われ」等著書があり、メディアでも注目されている方です。

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 お寺の住職として、数々の葬儀に関わって来られた事はもちろん、終末ケアや介護問題、チェルノブイリの被爆者への対応など、現場における体験をもとに、より良く生きるとはどういうことか、について語っていただきました。

 話しは現代人のルーツであるクロマニヨン人と、絶滅したネアンデルタール人の違いから説き起こされ、私達は好戦的なクロマニヨン人と、そうではないネアンデルタール人の両方のDNAを持っているというところから始まりました。続いて静岡県にもゆかりの深い戦場ジャーナリスト岡村昭彦氏が、ベトナム戦争、アイルランド紛争を取材し、晩年にはホスピスの概念を日本に導入したことが紹介されます。高橋住職は、こうした岡村氏の後を追っていると話されます。

 ゴーギャンの最晩年の絵も紹介され、「私は誰で、どこへ行くのか」について、「生・老・病・死」の過程が絵に表現されているとの説明がされます。この「生・老・病・死」を、ホスピスに入っている人たちは逆に「死・病・老・生」という見方をされると語られます。この観点に、生き方のコツがあるのではないか、と住職は語ります。人生は長生きすることそのものよりも、質が大事であるとの事です。

 700万人の団塊世代が「老」を迎えつつある今、宗教もこうした観点で活動すべきではないかというのが住職の考えです。死を迎えると、葬儀社にまず連絡を取るという時代にあって、高橋住職はまずお寺が相談に乗るべきだと語ります。神宮寺では24時間体制で相談に応じているそうです。「お坊さん」が葬儀の意味を説明していないから、葬儀はいらないという風潮になってきていることに、当のお坊さん達に危機感が見られないとも。神宮寺では、さらに高橋住職が中心となって存命中からの各種ケアを実践しており、NPO法人ライフデザインセンターも立ち上げ、介護支援、後見人・財産管理、葬儀・墓に至るまでの相談に乗っています。これが高橋住職の語る「より良い生き方」への実践です。

 講演では、神宮寺で行われた葬儀に使用したスライドショーも紹介されました。葬儀のやり方は、1人1人違う、と住職は語ります。葬儀は、旅立つ故人と、残された人たちの両者に向かって行われるのが本来であるとの事です。葬儀は故人を送り出すという素直な気持ちで永く行われて来たものであり、意味があるのだという住職の話に、参加者の皆さんもうなずいていました。 住職は、北タイの女性たちが手仕事で作る作務衣を着用されています。この作務衣はHIVに感染した女性を含む北タイの女性たちの自立を支えているそうです。このようにフェアトレード(適正な取引)にも積極的に関わっており、参加者の中にはこの作務衣を着用された方も見えました。                                                                                                        作務衣 

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