イベント報告
今からはじめる老い支度(静岡)第3弾「自分らしい逝き方」開催

今からはじめる老い支度(静岡)第3弾「自分らしい逝き方」開催
 ライフサポートセンターしずおかコープしずおか、静岡県労働福祉事業協会共同主催の「今からはじめる老い支度(3)、『自分らしい逝き方』」が10月26日(火)午後、静岡労政会館にて開催されました。45名の方が参加されました。
 今回の講師は、日本葬祭アカデミー教務研究室代表、二村祐輔氏です。参加された方々からは、「具体的な話を聞けてよかった」、「自分の逝き方を考えたくて参加したが、良く分った」など評価の声をいくつもいただきました。以下講演内容概略です。
講師 二村祐輔氏
二村先生
 最近「葬式はいらない」という本が出たり、「直葬」と呼ばれる、病院から遺体を火葬場に搬送し、荼毘に付す形態が増えたりしている。言葉の定義を確認しておきたい。葬式とは、「葬儀」と「告別式」を短縮したもので、それぞれが異なる意味合いを持つ。葬儀とは、「葬送の儀礼」であり、霊的な対応、遺体への対応を指し、告別式は「告別の式典」であり、社会的、対人的対応を行う式典を指す。
 あるアンケートでは、自分の葬儀を希望する人は49.3%、希望しない人は34.3%だという。
 また、現代において、人々にとっては3つの不安がある(1.葬儀の意味が不明、2.お葬式にかかる費用が不満、3.お布施や戒名のランクが理解できない)。
 日本消費者協会が平成19年発表した資料によると、お葬式にかかった費用は全国平均231万円、最も大きいのは葬儀本体の費用、続いて寺院費用、飲食接待費用となっている。寺院費用はお坊さんの読経や戒名授与に対する支払いなどであり、飲食接待費用は通夜・精進落としなどの飲食代などである。
 1976年に、日本において亡くなる方の場所に変動があった。この年に自宅で亡くなる方と病院で亡くなる方の数が逆転した。こうした事情もあって、病院で亡くなった後、遺体をどこへ連れて帰るのかが問題となった。また、この遺体搬送を葬儀社に頼むと、お葬式までその葬儀社に依頼せざるを得なくなるケースが増えてきた。
供養の変化
供養の変化
 葬儀以外の費用に大きなお金がかかっていることが知られるにつれ、消費者が疑問を持ち、かつ葬儀社が扱う葬儀と告別式がセットになったお葬式が提供されるようになったため、「葬儀」の意味や価値が相対的に喪失し、「告別式」が肥大化したのが現実。「葬儀」と「告別式」は別のもの。「葬儀」は遺体や魂に対する儀礼(納棺、火葬など実務的な手立てと読経など宗教的な儀礼)であり、大切に残したい。「告別式」は故人と遺族の社会的、人的関係を中心に行われる式典で、手法も場所も自由であり、いろいろと工夫できる(レストランで行う例もある)。
会場風景
会場風景
 お葬式(葬儀、告別式)は、通常、遺族によって行われるが、自分らしい逝き方を考えるならば、元気なうちに自分のお葬式について希望を書き残しておくのが好ましい。必ず連絡して欲しい先や、お葬式についての希望を書き残しておけば、遺族がそれを尊重してお葬式を執り行ってくれるだろう。事前に家族と話し合っておくのも良い。告別式については、故人をしのぶための花の配置や音楽による演出などを工夫するケースも実際にある。
 「エンディングノート」が各種市販されており、こうしたものを参考にするなどして、自分らしい逝きかたを考えて欲しい。

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