イベント報告
もう君を幸せにできんと泣いた夫(つま)~認知症のご主人と向き合った10年~

今からはじめる老い支度 静岡開催第二弾
『もう君を幸せにできんと泣いた夫(つま)』 講師:多賀洋子さん
                                                                                                                                                                   
今からはじめる老い支度 静岡開催の第二弾を、10月19日13時より静岡労政会館にて開催、41名の方がお見えになりました。
(主催:(株)コープライフサービス・(一財)静岡県労働福祉事業協会・(公財)静岡県労働者福祉基金協会(ライフサポートセンターしずおか)/後援:静岡県静岡市(一社)静岡県労働者福祉協議会静岡県労働金庫全労済静岡県本部 静岡新聞・静岡放送
講師は、津市在住の多賀洋子さんです。
多賀さんは、認知症を患ったご主人を約10年にわたり介護され、その体験談を多くの方に伝える活動や、介護で悩み苦しむ方の相談を受けるボランティアをされています。
多賀さん1
『もう君を幸せにできんと泣いた夫(つま) 惚(ほう)けてもなお優しいあなた』
この短歌は、介護をはじめて3年たった頃に詠んだもので、「もう嫌になった。死にたい。包丁を貸せ。洋子を幸せにできない。」と絶望するご主人の優しさに気付かず、これまでご主人の行動を避難ばかりしていた自分が情けなく思い泣いた経験を歌にし、2008年NHKの介護百人一首に入選した作品です。
多賀さん2
お話は、ご主人の症状が初期~中期~末期へと進む中、多賀さんが経験した、精神的に苦しんだ時期、安らぎを得た安定の時期、肉体的に疲れた時期を、当時の心情やご主人との会話を織り交ぜながらわかりやすく進んでいき、認知症の症候に気づいたら早期受診、本人でなくても家族が出向き医師に相談することも方法であることなど、介護体験から学んだコツなども紹介し締めくくりました。
多賀さんは体験談を本にまとめ、『ふたたびのゆりかご アルツハイマー型認知症の夫と笑いあう日々』、『認知症介護に行き詰る前に詠む本「愛情を込めたウソ」で介護はラクになる』(ともに講談社)を出版されています。
追記 (多賀洋子さん談)
あちこちの講演会場で、終わった後、私と話をしたいと思って近づいて来られる女性があります。けれども、どの方もみるみる涙をあふれさせて、しばらくは言葉にならないという状態です。伺うと、どの方もみな夫を介護する妻です。
私も渦中にいた当時は夫のことを人に話そうとして、込み上げるものを抑えられず、涙を溢れさせた経験が何度もあります。親を介護するより配偶者を介護する方が辛く、どうしたら良いか途方に暮れるという人が多いのではないかと思います。ボランティアで電話相談を行っていますが、介護中の家族は電話ひとつ自由にかけられないです。本人に聞かれないように配慮する必要があるからです。デイサービスなどを利用するまでは非常に苦しく閉塞的な状況です。
いろいろなところにお住いの方が電話を掛けて来られたり手紙をくださったりします。みなさんに「支えにしている」と言われます。煮詰まって誰かに悩みを吐き出したいと私にコンタクトをとってこられるなら、聞き役にはなれるからと思って相談に応じています。
ライフサポートセンターしずおか

バックナンバー

検索

PAGE TOP