イベント報告
中高年の「うつ」

中高年の「うつ」・・・ 県精神保健福祉センター の取組み
   松本晃明所長、杉井和美主幹に聞く
2007_0802.jpg【中高年の「うつ」が深刻な問題となっており、うつ病を背景とした自殺も社会問題化しています。「疲れているのに眠れない日が続くのはうつ病の始まり。かかりつけ医や産業医、専門機関に相談を」と富士市をモデル地区に、うつ・自殺予防に取組んでいるのが県精神保健福祉センターの松本晃明所長以下職員の皆さん。その熱意と行動力はすでにマスコミに何度も取り上げられています。ライフサポートセンターしずおかへの相談内容でも「心の悩み」が寄せられています。お忙しい時間の中無理をお願いして、取材させていただきました。】
-中高年の「うつ」の現状はどのようになっているのでしょうか。
 平成17年度静岡県における死因の7位が自殺ですが、自殺者は特に中高年の男性に多く、その背景としてうつ病の影響が指摘されています。うつ病は「単なる落ち込み」とは異なり、脳の機能障害(神経伝達物質の働きの低下)によって、さまざまな身体症状が出る病気です。そのため、うつ病患者は、不眠、食欲低下、全身倦怠感、頭痛、肩こり、動悸、めまいなどの症状をもとに、まず一般医を受診することが多く、精神科治療につながる方は少数にとどまっています。
-新聞にも報じられた富士市とのモデル事業とはどのようなものですか。
 働き盛り世代を主な対象とした、うつ病の早期発見・早期治療システムです。一般医がうつ病発見のゲートキーパーとなり、一般医の先生方から精神科の先生方へうつ病患者をつなげる「うつ病患者紹介システム」のモデル事業が、富士市医師会の協力により、7月から実施されています。
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-中高年世代がうつ病を理解していくことも大切ですよね。
 ええ。うつ病啓発のパンフレットを作成し、さまざまな方法で中高年世代に配布しています。このパンフレットでは、簡単なセルフチェックができるよう「眠れない」、「食欲がない」、「だるい」といった身体的症状があったら専門機関に相談するよう呼びかけており、加えて「こころの医療機関」、「こころの問題に関する相談窓口」だけでなく、「困りごとの相談機関」として多重債務や家族の問題の相談に乗れる機関も掲載しています。
-中高年の世代は、なかなか悩みを打ち明けにくいですよね。
 特に男性にそうした人が多いのです。悩みを打ち明けることは弱音を吐くことだと思ったり、恥だと考えたりする人は要注意です。そういう人は、家族にも職場の仲間にも相談せず、専門の医師に診てもらうこともしないで病状を悪化させてしまう可能性があります。
 -心の悩みを相談できるダイヤルがあるそうですね。
 「こころの電話」と言います。
中部 054-285-5560、東部055-922-5562、伊豆0558-23-5560、西部0538-37-5560
相談時間は月~金8:30~17:00、時間外は「静岡いのちの電話」、「浜松いのちの電話」に転送されます。
【取材を終えて】松本所長は終始穏やかな表情で語っておられましたが、内に秘めた情熱がたぎっていて、それを杉井主幹をはじめ、職員の皆さんがサポートしているという印象を強く持ちました。取材中、臨床心理士の山田昌彦主査にも加わっていただきました。県精神保健福祉センターの皆様のご活躍をお祈りします。ご協力ありがとうございました。
↓県精神保健福祉センター作成のパンフレットから
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